第393回 人工甘味料アスパルテームの真実
国際学院埼玉短期大学健康栄養学科による “清涼飲料水中のアスパルテームに関する研究”によると、清涼飲料水中のアスパルテーム含量は4〜79mg/100mlとされています。
厚生労働省の2002年度/2003年度の調査では、アスパルテームの摂取量は、一日の許容摂取量の0.29%で、多いものでも数%と報告されています。
ダイエットコーラ1リットルには、平均560mgのアスパルテームが含まれています。
一方、米国食品医薬品局が推奨するアスパルテームの一日許容摂取量は、体重1kg当たり50mgですから、体重50kgの人では2500mgとなります。
扨て、海外ではどのような展開が繰り広げられているのか見てみましょう。
背景:
現在のアスパルテーム製法を開発したのは日本の味の素です。
1983年に日本およびアメリカでは使用が認可され、現在では世界中で約6000の食品に甘味料や調味料として使用されていると推定されています。
米国食品医薬品局(FDA)による承認を巡って、人工甘味料製造会社G. D. Searle & CompanyとFDA長官の癒着疑惑があったこと、更に、大きく懸念されるものとして、アスパルテームは人工的に作り出された化学的甘味料で、メタノール、アスパラギン酸、フェニルアラニンに分解される化学的性質を有していますが、このうちメタノールは発がん性物質だと報告されています。
実際にラットを使った実験で「アスパルテームが脳腫瘍を起こす疑い」や「メタノール用量と雌の白血病リスクの増大」、或いは「ソフトドリンクと早産との関係を示す疫学研究」など反対意見が示されましたが、都度EFSAによる再試験で打ち消されました。
これまで30年間に亘る200を超える研究で、アスパルテームは安全と確認されており、米国食品医薬品局(FDA)、欧州食品安全衛生機関(EFSA)、世界中の規制当局もその安全性を公表しています。このようにアスパルテームは、食品の中でも徹底的に研究されたものの一つであると云えるでしょう。
アスパルテームの1日摂取許容量については、米国食品医薬品局(FDA)は体重1kg当たり50mg、欧州食品安全衛生機関(EFSA)は40mgとしています。
このようにアスパルテームの安全性は二転三転しながら現在に至っていますが、論争が終結したわけではありません。このような状況の中で、ハーバード大学病院の新たな研究結果が報告されました。
米国ハーバード大学の問題提起:
50万人の男女を調査対象とした米国国立がん研究所の研究で、アスパルテームと白血病およびリンパ腫のリスク増加の関連性がない事が報告されていますが、2012年10月24日付けのAJCN米国臨床栄養学会誌に、“Consumption of artificial sweetener and sugar containing soda and risk of lymphoma and leukemia in men and women” と題して、ハーバード大学関連病院の研究チームが、“ダイエットソーダが”血液がん(リンパ腫や白血病)リスクを増大させる可能性がある“ことを公表しました。
今回の論文は疫学調査の報告で、76年に始まった女性看護師を対象とするNurses' Health Study:NHS、及び86年に始まった男性医療従事者を対象とするHealth Professionals Follow-Up Study:HPFSの二つの大規模コホート研究に基づいています。
今回の研究発表に対して数多くの批判が高まり、非常に異例なケースとして、病院側がエビデンスの脆弱性を認め、時期尚早であったと謝罪表明しました・・・研究内容、参照記事、および批判意見など詳細の翻訳は割愛します。
しかし、ハーバード大学公衆衛生大学院の教授を務める栄養疫学研究の第一人者で、且つ論文の共同執筆者の一人でもあるWalter Willett博士は、"I do think this finding is strong enough to justify further study on aspartame and cancer risk"、つまり “この知見は、アスパルテームとがんリスクに関する更なる研究を正当化するに十分に強いものだと痛感している”と、NPR公共ラジオ放送で語っています。
関連記事
NBC News
Harvard hospital admits it promoted weak science on aspartame