第395回 朝食抜きの有酸素運動の効果


朝食抜きの有酸素運動は食欲を高め、結局は食べ過ぎてしまうと云われていますが、英国Northumbria大学のEmma Stevenson博士ら研究チームはこれを否定し、逆に胃を空っぽにして運動すると脂肪燃焼が20%高まるという研究結果を発表しました。

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Northumbria大学のホームページ
Lose Fat Faster Before Breakfast

12名の健常な男性を使って、一晩絶食した翌朝に朝食抜き組と朝食組に分けて、10:00スタートでトレッドミルを走らせた。運動後にチョコレート ミルクシェイクを与え、その後に満腹するまでパスタランチを食べさせた。
その結果として、運動した被験者は余分に食べることも無く、1日を通じて食欲/空腹感が昂じることはなかった。更に、朝食抜き組は朝食組に比べて、脂肪燃焼が20%アップしたとのことである。

British Journal of Nutrition
Jan24 2013
Breakfast and exercise contingently affect postprandial metabolism and energy balance in physically active males.

本研究で、朝食とエクササイズが食後の代謝、食欲、栄養素のバランスに与えるインパクトを検討した。

方法:
無作為化、クロスオーバーデザインで、12名の健常な男性を一晩絶食した翌朝に4グループに分けて実験を行った。
・ 朝食を食べずに安静 (FR)
・ 朝食を食べずに運動 (FE)
・ 朝食を食べて安静 (BR)
・ 朝食を食べて運動 (BE)

エクササイズは中程度の強度のランニング(消費カロリー2.9MJ≒693kcal)
エクササイズ後にドリンク(1500kJ≒357kcal)を与え、90分後にランチ(任意食)を摂らせた。
朝食カロリーは1859kJ≒443kcal

結果:

ドリンク後の血糖値の時間平均AUC(曲線下面積)
朝食を食べて安静(BR)” 及び “朝食を食べずに安静(FR)” では明らかな違いがあった[BR: 4.33 (SEM 0.14) mmol/l、FR: 4.75 (SEM 0.16) mmol/l P= 0.08]

“朝食を食べずに安静(FR)” 及び “朝食を食べずに運動(FE)” では有意差はなかった[FE: 4.77 (SEM 0.14) mmol/l; P= 0.65]

“朝食を食べて運動(BE)” は “朝食を食べて安静 (BR)” より大きく、最も大きかった[BE: 4.97 (SEM 0.13) mmol/l v. BR (P= 0.012)]

(註)平均値の標準誤差を特にSEM (standard error of the mean) と呼ぶ。

ドリンク後の食欲
“朝食を食べずに安静(FR)” より “朝食を食べて安静(BR)” で低減した(P= 0.006)
“朝食を食べずに運動(FE)” より “朝食を食べて運動(BE)” で低減した(P= 0.029)

昼食後のエネルギーバランス
“朝食を食べて安静(BR)” が、正のエネルギーバランスが一番大きかった。
“朝食を食べずに運動(FE)” が最も小さかった。

朝食に関係なく、運動により昼食後の正のエネルギーバランスが低減した。
朝食を抜くことで、エネルギーと脂肪のバランスは一層減少した。

朝食はその後の一日の全体的な食欲反応を改善したが、運動の食欲抑止の効果を無効にした。

マイコメント:
この実験は、アンダーカロリー(摂取量<消費量)の管理条件下で行われたものでなく、自然体による傾向化を示したものと了解しています。食事誘導性体熱産生(DIT)は約10%ですが、それにしても20%もの差が出るというのは非常に興味深いレポートです。そもそも代謝は指紋のように各人各様です。従って、当ブログは “ダイエット計画に基づき理論体重と実測体重を毎月レビューし、且つ、姿見鏡でビジュアルチェックしながら、進捗管理データ(トータルエネルギーバランス)をより正確にしていく” ことを推奨していますが、そういう意味でこの研究結果は参考になると思います。

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