第1172回 高血圧を下げるには活発なウォーキングよりストレッチが優れている

カナダ・サスカチュワン大学の研究によると、正常高値血圧(130/85 mmHg)又はステージ1高血圧(159/99mmHg)の人には、活発なウォーキングよりストレッチの方が血圧を下げるには効果的のようだ。

sutorecchi.jfif


Journal of Physical Activity and Health
2021/1/20
Stretching is Superior to Brisk Walking for Reducing Blood Pressure in People with High–Normal Blood Pressure or Stage I Hypertension

背景:
‎‎血圧を下げるため有酸素運動が推奨されるが、最近の研究ではストレッチも有効である可能性が示されている。本研究では、正常高値血圧(130/85 mmHg)又はステージ1高血圧(159/99mmHg)の中高年男女を対象にして、8週間のストレッチとウォーキングを比較した。

‎方法:‎‎
平均年齢61.6歳の男女40名を被験者として8週間の介入研究を実施した。
無作為にストレッチ群とウォーキング群に割り付けて、全身ストレッチまたは最大心拍数の50‐65%の強度での活発なウォーキングをそれぞれ割り当てた。
運動時間と頻度は同じく1日30分x週5日x8週間とした。
水銀の血圧計で坐位および仰臥位で手動にて測定した…通常は坐位で測定するが、仰臥位の方が正確なのだそうだ。加えて、ポータブルモニターを用いて24時間連続の評価も行った。

結果:
坐位収縮期、仰臥位拡張期、夜間収縮期いずれもストレッチ群での減少が大きかった(P < 0.05)

‎・坐位収縮期
ストレッチ群:146 → 140 mmHg
ウォーキング群:139 → 142 mmHg

・仰臥位拡張期
ストレッチ群:85 → 78 mmHg
ウォーキング群:81 → 82 mmHg

・夜間収縮期
ストレッチ群:67 → 65 mmHg
ウォーキング群:68 → 73mmHg


坐位、仰臥位、夜間の平均動脈圧もストレッチ群での減少が大きかった(P < 0.05)

・坐位
ストレッチ群:108 → 103 mmHg
ウォーキング群:105 → 105 mmHg

・仰臥位
ストレッチ群:102 → 96 mmHg
ウォーキング群:99 → 99 mmHg

・夜間
ストレッチ群:86 → 83 mmHg
ウォーキング群:88 → 93mmHg

マイコメント
共著者フィル・チリベック教授は、「ストレッチは筋肉を伸ばすだけだと考えている人が多いが、筋肉を伸ばすと動脈を含め筋肉に供給する総ての血管が伸びる。血流に対する抵抗力が血圧を上昇させるが、ストレッチで動脈のこわばりを減らすと血流に対する抵抗が少なくなる」、「この研究を以って、有酸素運動は意味が無いと理解すべきではない。血圧を下げるために現在ウォーキングをしている人は続けるべきだが、ストレッチも少し加えるのが良いだろう」、「ウォーキング、自転車、クロスカントリースキーなど体脂肪、コレステロール、血糖値にプラス効果がある。この研究でもウォーキングで体脂肪は減ったが、ストレッチでは減っていない」とScience Daily誌で語っている。

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